ちょうどよい暮らしをつくる、意外な片付けマインド 〜出会いにいこう、「フィット」な暮らし vol.2〜
2023.03.30
なにかと変化の多い春!暮らしもあわせてアップデートするチャンスです。
これからの自分にちょうどよい暮らしをつくるための片付けマインド、教えます。
こんにちは。整理収納アドバイザーの松尾千尋です。
前回は、「フィット」のヒントを見つける、片付けのコツをご紹介しました。
ヒントを見つけるポイントは、
「これまでの自分を理解して、等身大の自分を受け入れること」。
(前回の記事「私が輝く「フィット」のヒント。」はこちらから!)
今回のキーワードは、「変化」です。
変わっていく自分に気づいて受け入れることで、フィットする暮らしに近づくヒントをお伝えします。
モノが減ってもしっくり来ない!?
私は、本格的にコロナ禍に入る直前の2020年1月ごろから、モノを減らし始めました。
最初の頃は、部屋がだんだんとスッキリしてくることがうれしく、
「使っていないモノはないかな」
と、部屋をパトロールすることに生きがいを感じていました。
ところが、片付けが進んでモノも減り、暮らしやすくなってきたはず・・・にもかかわらず、
「今の暮らしはなんかちがう」
という気持ちが、だんだんと募るようになりました。
「なんかちがう」どころではなかった
部屋に残ったモノたちは、今の自分の好みに全く合っていないと感じるようになってしまったのです。
片付ければ片付けるほどモヤモヤが大きくなって、悩みました。
「モヤモヤするのは、気持ちが言葉になっておらず、整理できていないからだ」
そう思って、やってみたことはたったひとつ。
気持ちや思いを全部、紙に書き出したことです。
モノに関することだけではなく、これまでの人生全般についてや、どういう暮らしなら満足なのか、ということまで、総ざらいしました。
浮かび上がってきたのは、これまでの選んできたことの多くは、自分が本当に選びたかったことではなかったということ。
他人の目を気にして、思い切った選択ができなかったこと。
ぼんやり流されるままにしてきた選択。その延長線に、今がある。
そんなふうにつくられた今の暮らしは、なんかちがう、どころではありません。
「全然、ちがう。モノもコトも。むしろ理想の真逆かもしれない・・・。」
そんな風に思い始めたのです。
ポイントは「これまでとちがう判断」
「現状は、ありたい状態の逆かも」
そう感じてから、片付けをするときの判断も変わりました。一度「残す」と判断したものに対して、あえて「手放す理由」を考えてみることにしたのです。
やってみると、必要なモノ・気に入っているモノを残しているようでいて、多くの場合はそうでなかったことに気がつきました。
今をつくっているのは、これまで自分が下してきた判断の積み重ねです。
その「今」にモヤモヤしているなら、今までと似たような判断をし続けていても、気持ちが晴れることはありません。
ブランドバッグなどの、今までの私ならとっておくはずだったモノたちを、勇気をもって手放していきました。
片付けに限りません。
モノを買うとき、お店を選ぶ時。今日は掃除をするか、サボるか。何時に家を出るか。
一つ一つの選択で、「これまでとちがう判断」を意識する。
最初のうちは不安な感じがありましたが、続けているうちに、
「このほうが、自分にフィットする」
という感覚が、生まれてきました。
本音と判断にギャップがある理由
「これまでとちがう判断」を続けたことにより、だんだん自分がのぞむモノゴトがわかってきました。
あれ、変だな、と思う方もいらっしゃるかもしれません。「自分にフィットしている」状態を目指しているのに、「普段の自分と逆の判断をする」って、一見矛盾しているように見えますよね。
「これまでとちがう判断」に取り組んで、気づいたことが2つあります。
1つ目は、今まで惰性の判断ばかりしてきたこと。
2つ目は、本当はこうしたい、という気持ちに対し、無意識にフタをしていたこと。
この2つが、本音と判断にギャップが生じる理由でした。
これまでの「逆」をすることで、「フィットしている」状態に近づいたのは、惰性ではなくしっかり考える習慣がつき、本音の方へ意識が向いたから。
いつもしている判断って、本音のようでいて、実はそうでないことの方が多いのかもしれません。
これらのことに気づいた時から、ちょうどよい暮らしに向けてモノゴトが動き出したのです。
思ってもみない暮らしが「フィット」した
これまでは、外に出かけてたくさん人と会ったり、旅行に行ったりすることがとても好きでした。
それなのに、コロナ禍でほとんど外に出られず、海外旅行にも行けなくなってしまった。
「つまらなすぎる、どうしよう・・・」
とものすごく不安でした。
しかし、「これまでとちがう判断」で片付けるようになってから、だんだん家でゆっくり過ごす時間が心地よいと感じるように。
今まで、大人数の集まる会などに好んで顔を出していましたが、そういう場は自分には合わない、という発見もありました。
コロナ禍で無理矢理家にこもる、というよりは、家にいる時間が長い方が自分に合うと思い始めました。
片付けとコロナ禍で思いがけず出会った暮らしは、これまでの自分がなりたかったそれとはまるで逆です。でも、そんな暮らしはストレスが少なく、充実感と満足感があり、自然体でいられる状態。私にとっての「フィット」な暮らしは、今までの自分が想像もしていなかったようなものだったのです。
私は変化していくから
意識しないと気がつかないですが、自分は日々、変化しています。
でも、何かを決めるときって、昔のままの自分流に判断してしまっていることも多いのではないでしょうか。
判断の決定権を握っている昔の自分は、何かに抑圧されていたり、遠慮していたり、虚勢を張っていて、前に進みたい今の自分を邪魔しているかもしれません。
そんな「過去」を一度受け止め、変化に気づいて受け入れる。それができた瞬間が、「今とこれから」にちょうどよい暮らしが、幕を開ける時なのだと思います。
松尾千尋
ライター、整理収納アドバイザー。捨てるのが苦手で「詰め込み部屋」だったが、27平米での二人暮らしをきっかけにモノを減らし始め、「人生がモヤモヤするのは、モノゴトを詰め込んでいるせい」と気づく。証券アナリストとして勤務していたが、片付けを主軸に好きなことで生きよう!とキャリア転換。2023年からフリーランスとして、整理収納アドバイザー、暮らし•金融ジャンルのライターして活動中。
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