DIG the ACT vol.1
ADAM ET ROPÉ HOMMEから今季、新たなラインがローンチします。それが『ACT(アクト)』。
都市生活を優雅に、快適にクルーズするための機能やフォルム、ディテールを引っ提げたコレクションです。
ゆとりのあるフォルムとはいえ決して品位を損なわないボディライン。
その佇まいには年齢や性別すらも超越する寛容さが感じられ、どこかモードで、ストリートのような自由さも抱かせます。
第1弾となる今回は、その中でも中軸を担う2作とコラボレーションラインをご紹介します。
ADAM ET ROPÉ HOMMEらしさも存分に感じさせるACTの“顔”
ファーストコレクションとなる今回は、ALLIED FEATHER + DOWN(アライドフェザーアンドダウン)社のALLIED FEATHER(アライド・フェザー)を採用したアイテムが牽引します。アメリカ・カリフォルニア州に本拠を置く世界有数の羽毛サプライヤーで、ADAM ET ROPÉ HOMMEとはもう7年もの付き合い。厳しい品質基準をクリアしたダウンは、軽量で柔らかなうえ嵩高性にも優れます。世界各地のアウトドアブランドやアパレルブランド、寝具メーカーから厚い信頼を寄せられるそれを、今回は贅沢に取り入れました。
そして、ACTにおいて独特なのは、ナンバーでカテゴライズしながらそれぞれの特性に則ったアイテムとネーミングで展開している点。「1-9番」は、同ラインの根幹を担うシグネチャーモデルを意味し、モデル名に“東京、そして日本から世界へ”との想いを込めました。
「AO(アオ)」と名付けたこちらは、東京でも有数のファッションエリアである港区の“青山通り”からとりました。ADAM ET ROPÉ HOMMEではもはやお馴染みのショートダウンジャケットをデザインのベースとし、ダウンアウターでありながらその名に恥じぬ洗練さをその身に湛えています。
それもそのはず。生地には非常にきめの細かいナイロンを採用。ご覧のように、オモテ地を走るシームが少なく、ダウンキルトを減らすことで実にすっきりとした佇まい。ロゴや裏地を同系色でまとめ、ボタンも表面がフラットなタイプを起用することでモダンさを印象付けました。
さらには、快適な日常を目指したコレクションということもあり、都市生活において不自由を感じさせない機能にもこだわりました。防風も視野に入れたスタンドカラーの裏地にはフリース素材を使用し、温もりと気持ち良さを担保。オモテ地にストレッチ性が加味され動きの自由も確保されています。
そして、手ぶらで出歩けるほどの容量が頼もしいポケットは一部にメッシュ地を採用し、雨をガードする止水ジップまで取り入れるなど細かい工夫をそこかしこに落とし込みました。丈感も、車や自転車、電車と多様な移動手段をとる都市生活を考えた絶妙な長さに設定しています。
温故知新を体現したシグネチャー
ACTでは、都市の通称道路名やエリアから着想を得てモデル名にしていることは先述した通り。こちらの「Ginz(ギンズ)」も御多分に漏れずです。
日本有数の品格と華やぎが香る街であり、歴史的にも重要な拠点として常に多くの偉人、著名人を受け入れてきた銀座。その中を走る“銀座通り”に端を発しているこちらは、モダンとクラシックが根付いた街を背景にしていることもあり、クラシカルなアウトドアダウンを想起させるようなアプローチで仕上げています。
着脱可能なフードもまた古き良きアイテムに見られた意匠。とはいえそこはコンパクトに設計することで今の空気に溶け込む印象へ仕上げています。そのうえ、6つのドットボタンにより取り外しが簡単で、気分によって気楽に、手軽に着け外しが可能なのです。
ただ、昔ながらの姿がシビれるとはいえ、懐古主義に陥らないところに「Ginz」の矜持が見え隠れします。生地は「AO」同様きめの細かいナイロン地。デザインは無駄を省いたミニマルさで、ジャケットを内側に着込んでもごわつかない丈感がちょうどよく、ONとOFFを行き来できる可能性をのぞかせます。
キルティングの間隔も従来のものより狭めにとることでミニマルさに拍車をかけ、モダンな印象に。そんな細部にまで計算し尽くされた作りこそACTの真骨頂と言えます。
異なるアイデンティティとの融合が生んだケミストリー
「1-9番」のシリーズは同コレクションを代表するモデルが名を連ねますが、「30番台」はコラボレーションにより新たなエッセンスを取り入れたトリプルネームシリーズ。“日本のブルックリン”とも呼ばれる蔵前エリアを背景に名付けたこちらは、レザー製フライトジャケットなどで名を馳せたアメリカ屈指の実力派、AVIREX(アヴィレックス)との共作です。
ミリタリーをファッションへと昇華させたという点において、AVIREXの功績は言うまでもありません。とはいえ、1990年代にはしっかりアメリカ空軍へ「A-2」フライトジャケットを納品していたコントラクターでもあります。そのためクオリティは折り紙つき。そんな背景もうっすらと見え隠れする、特別なタグも今回は製作しました。
過去の歴史の厚み、米軍への納入実績なども含めると、抱えるアーカイブの多様さは想像に難くありません。そんな中、あえて今回はゼロから製作し過去に例のないモデルを作りました。往年のアウトドアスタイルのダウンジャケットをベースに、大人が袖を通してもゆったりと着られるサイジングに。短すぎず、長すぎない着丈に設定しているためインナー選びにも苦慮しません。
表生地にはキメが細かく滑らかなラムレザーを起用していますが、オモテ地を走るステッチ本数を減らしたことで必然的に使用するレザーは大判になります。傷のないところを、しかも大判で使用する贅沢さは魅力の一因。しかも、軽さを出すべく0.5㎜まで薄く梳いているのです。これは非常に技術を有することで、そのうえ、薄く梳いてもなおレザー本来のダイナミックさは失われていません。そんなところにも同作を特別たらしめる要因が隠されています。
エレガントな風貌にマッドな風合いのフラットボタンなど、都市との距離を縮めるポイントを各所に落とし込みましたが、とはいえAVIREXならではのアイデンティティもしっかり根付かせています。それを象徴しているのが裏側にあしらったポケット。そのボタンにはAVIREXの気概を感じさせるオーセンティックなボタンを使いました。手を優しく包み込み、モノを受け止める深めのフロントポケットをはじめ、利便性を担保する各種ポケットも外に内にと配置。その作り込みからも、同コレクションに対するこだわりと熱意が伝わってくるはずです。