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ロペが追求する、 究極の心地良さとジャパンメイドの匠とは

2024.07.22

日本が世界に誇る生地作りの技術にフォーカスし、高品質なジャパンメイドの魅力を追求するロペ。第1弾としてローンチしたカットソーコレクションではクリエイターとタッグを組み、最高品質のアイテムを仕上げた。コレクションを完成させるに欠かせないメリヤスの一大産地・和歌山の企業エイガールズをクリエイティブディレクター齊藤が訪ねた。

目指すのは、日本独自のラグジュアリー

今回、新生ロペのクリエイティブディレクターに就任した齊藤 智(左)が手を組んだのは和歌山でカットソー生地の開発と販売を行うエイガールズ。取締役を務める尾崎孝夫(右)と服作りへの想いを語り合った。

1968年創業のロペはヨーロッパのファッションを取り入れながら日本の服飾文化を牽引。一方、エイガールズは1972年に創業し、国内向けに生産を続けながら時代の流れをいち早くつかみ、2004年にパリのテキスタイル国際見本市に進出。日本の高い技術力はヨーロッパで評価され、名だたるメゾンとコラボレーションを続けている。

20年前、イタリアブランドでデザイナーをしていた齊藤は、当時を振り返る。「パリの展示会場でエイガールズのブースには長い行列ができていました。触ってみてわかる肌触りの良さ、しなやかな風合いは古い機械でしか出せないものだと知りました。イタリアの田舎には街の中心に生地屋があって、周辺にはそれを支える職人の工場が点在している。そこではゆったりとした時間が流れていて、ここ和歌山でも同じ空気を感じます」

古い機械で編んだ生地には人の手の温もりが感じられる。

グローバル化による大量生産が主流となり、繊維産業が画一化された現代、和歌山の職人たちは人の手の温もりにこだわる。地元で育った尾崎孝夫はこう話す。

「昔の機械は針の本数が少なく、ゆっくり編むので風合いがいいんです。それは機械を扱う職人の腕によるところが大きい。最新の機械に比べて効率は低いですが、仕上がりの差は歴然。現在では品質の良さを評価してくれる国内外のブランドと協業することも多いです」

原料の糸にもこだわっており、「ひとくちに綿といってもアメリカ、エジプト、インドと産地はさまざま。弊社では外国に特注した糸を和歌山のグループ会社で特別な撚りをかけ、オリジナルなものに仕上げます。糸本来の特性を生かすため編み機も使い分けています」 糸の製作にもオリジナルの技術をかけて手仕事でピンに糸をかけ、撚りをかけていく。独自加工した糸は伸縮性に加え、ふっくらとした風合いが出る。

編み機の個性を熟知したオリジナルな風合い

齊藤がデザインしたカットソーのうちのひとつは、40年前にグローバルスポーツブランドのヴィンテージジャージーに使われた編み機に糸を替えて製作されたもの。「一昔前、日本のジャージーはアメリカンなイメージが強かったのですが、エイガールズのジャージーはアメリカでもイタリアでもない独特な質感がある」(齊藤)しなやかな弾力性、表と裏で編み方を変えるなど、着る人がリラックスできるための工夫を随所にこらした。

手触りはイタリアの上質な生地のようだが、そこには綺麗なだけではない温もりを感じるという。「編み機の特徴を生かしながら、表と裏とで異なる風合いに仕上げています。表は肉厚に、肌が当たる面はTシャツのように薄く肌触りの良い生地が出来上がりました」(尾崎)

着るだけで気分が上がるラグジュアリーカジュアル。

エイガールズでは綿にカシミアやテンセルといった異素材をミックスさせるなど新しい試みもいち早く挑戦してきた。
「うちにはローテクとハイテク両方の機械があるので、それを組み合わせると無限の可能性がある。新しい機械では編み目は整然として綺麗に仕上がりますが、古い機械で編んだものには独特の膨らみがあり、それが肌触りの良さに繋がります。今回のアイテムで目指していたのはラグジュアリーカジュアル。着るだけで気分が上がる生地にしました」(尾崎)

無地のカットソーだからこそ、風合いで勝負したいというエイガールズの姿勢に齊藤は続ける。「僕はヨーロッパのメゾンでデザイナーとして仕事をしてきましたが、いま改めて日本で発信したいのは、日本独自のラグジュアリーなんです。キモノを着ていた時代から西欧のファッションに憧れた時代、そして日本のデザイナーたちが世界に羽ばたいた時代を経て、これからは日本の地に根ざした生地を使って本物のジャパンラグジュアリーを追求したい」

肌触りとボディライン。女性の心理を考慮したデザイン

齊藤がデザインしたのは、既存のカテゴリーにとらわれず自由な発想で着こなせるアイテムだ。たとえば襟ぐりから肩にかけてボリュームを持たせたトップは、着る人により表情が変化する。「襟元のドレープを強調することで、ノースリーブで肌を見せることへの抵抗感を少なくしました。スタイリストの金子綾さんにもアドバイスいただき、ボディラインを気にする女性の心理も考慮したデザインです」(齊藤)

セットアップでドレッシーに、デニムに合わせてカジュアルにと幅広い着こなしが可能なうえ、家で洗濯もできて乾きやすい。シワになりにくいので、旅行にも重宝しそうだ。海と山に囲まれた風光明媚な和歌山の地で、連綿と続いてきたメリヤス作り。ここからジャパンラグジュアリーの新しい時代が幕を開けようとしている。

機械で編んだニットの総称、メリヤス。伸縮性に富み、肌着や靴下、ジャージーなど私たちの日常に欠かせない生地だ。その国内最大産地となるのが和歌山である。1909年、紀伊半島西部の和歌山湾沿岸、現在の紀三井寺駅周辺でスイス製の丸編み機5台を導入したのが始まりとされ、メリヤスは戦後の高度経済成長時代を経て地場産業として隆盛を極めた。現在は約60社が昔ながらの機械と新しい技術を織り交ぜながら、世界に向けて魅力ある生地を作り続けている。海と山に囲まれた温暖な土地で、全国のおよそ4割のメリヤスが生産されている。

photography: Yuka Uesawa
text: Junko Kubodera

Produced by madame FIGARO japon

ROPÉ Made in Japan vol.1 A-GIRL'S × ROPÉ

Special collaboration with Aya Kaneko